ギター弾きであれば憧れる、人気の衰えないオーバードライブエフェクターの金字塔、Klon Centaur(ケンタウルス/ケンタウロス)。
使用ギタリストはジョン・メイヤー/ポール・マッカートニー/ジェフ・ベック/ノエル・ギャラガー/ジョシュ・クリングホッファー/デレク・トラックス/Char/布袋寅泰/松本孝弘/田渕ひさ子/他、大勢います。
オリジナルは生産終了で、中古相場価格は高騰するばかり。値段はギター本体が買える価格から、ヴィンテージギターの価格に踏み込んでいます。この記事では、本物に勝るとも劣らない、ケンタウルス系クローンを紹介します。
メディアへの露出、人気度等、独自の調査で選び抜いた8機種です。
とくとご覧あれ!
中身も外見もそのまま! 最高のコピー、Ceriatone Centura
Ceriatone(セリアトーン)はマレーシアのアンプメーカーです。
ケンタウルス以外にも、あのジミヘンが使用していたマーシャルJTM45クローンも作っているようです。
見た目はそのまんま。ここまで似てるものは他にはありません。
違いを探す方が大変。ペダルボードの中にセットすれば、本物にしか見えないと思います。
ノーマルバージョンとEarlyバージョンがあり、絵付き、絵なし、金色/銀色があります。
変わりどころでは、ピンク、パープル、ブラックもあります。
肝心の音ですが、比較動画等で確認すると、ほとんど違いはないように感じます。ケンタウルスは個体差が大きいのは有名な話で、比較するオリジナルによって印象が変わります。いろんな個体の中に混ざっていれば、判別できない可能性が高いと思います。個人的にはオリジナルの音が前に出てくる感じと、TREBLEを上げたときの周波数と、そのブースト感に違いが感じられます。それらの点は、以下に紹介する他社のクローンと、オリジナルを比較する時のポイントにすると良いと思います。
正統派のクローンから、各社の個性が足されたものまで紹介!
J. ROCKETT AUDIO DESIGNS ARCHER/ARCHER Ikon
まさしく、正統派のクローンです。実はJ. ROCKETT AUDIO DESIGNS(JRAD)はケンタウルスの後継機種Klon KTRのOEM(製造)をしていたんです。中身について熟知しているメーカーによるクローン。これはとっても期待が持てますね。実際、ギター・マガジン誌での田渕ひさ子さんのレビューでは「一番オリジナルに近い」との表現があります。
筐体サイズはオリジナルよりスリムになった縦型です。クローンには多いサイズ感ではないかと思います。
シルバーのARCHERとゴールドのARCHER Ikonがあり、それぞれオリジナルのシルバー/ゴールドの音像イメージで作られています。ARCHERの方がすっきりめで、ARCHER Ikonの方がグルー感があると感じました。アウトプットゲインがオリジナルより大きいとするレビューが多いようです。
この二つは音の印象に深くかかわるクリッピング・ダイオードが違っています。Ikonの方にはオリジナル最初期と同様のロシア製1N34ゲルマニウム・ダイオードが用いられています。
WAY HUGE WM20 CONSPIRACY THEORY
ペダルデザイナー、ジョージ・トリップスが友人のミュージシャンから、3台のオリジナルを借りて音を研究して開発に取り掛かり、WAY HUGEからリリースしたクローン機です。
実は後で紹介するMXR M294 Sugar Driveもジョージの開発したクローンで、同様の回路だそうです。
音は元にしたオリジナルの個性に由来するのか、中期から後期にかけての雰囲気のある、高域に特徴のある明るめの出音。いわゆるシルヴァー期の音のイメージに近い、ほんの僅かすっきりとして、クリアな印象です。
心臓部にはTL072オペアンプ、クリッピング・ダイオードにはゲルマニウム・ダイオードが用いられています。オリジナルの回路はバッファードバイパスですが、こちらはトゥルーバイパスが採用されています。
tc electronic ZEUS DRIVE
ZEUS DRIVEはFATスイッチが付いているのが特徴的で、ローエンドを太くして、厚みを持たせることができます。もともと、ケンタウルスは低音には効果を加えない作りだったので、そこが物足りない人にとってはアップデートされている点ですね。クリッピング・ダイオードには1N34Aゲルマニウム・ダイオードが用いられていて、ゲルマニウム好きにはたまりません。
内部にトゥルーバイパスとバッファードバイパスの切り替えスイッチが搭載されているのも嬉しいですね。
そして、価格はクローンの中では最もリーズナブルな一万円前後と取り上げた中ではお安いです。なんと! 2000台の限定生産で、そのうち150台のみが日本に入荷という情報でした。安定して販売されている気配もありますので、追加生産もされたのかもしれませんが、いつなくなるかわからないのが、エフェクターの世界ですので気になる方はチェックしてみてください。
electro-harmonix Soul Food
出ましたエレハモ! 大手のペダルメーカーの中ではいち早く、クローンにとりかかり、リリースされたのがこのペダル、Soul Foodです。
音はエレクトロ・ハーモニックスらしいドンシャリ感があります。ぎゅんぎゅんして、倍音派手めな印象です。個人的にはシングルコイルのギターよりハムバッカーに合う気がします。
程よい大きさのサイズと、かわいいデザイン。開発理念には、「ケンタウルスの音を手の届くプライスで!」とあったようで、回路設計の見直しとパーツのコストダウンがはかられています。ゲルマニウムではなくシリコンのダイオードが採用されているのもうなずけますね。
内部スイッチでトゥルーバイパスとバッファードバイパスの切り替えが可能です。
小さなケンタはブースターとしても優秀!
Wampler Pedals Tumnus
Wamplerはアンプの音をペダルで再現することに、定評のあるメーカーです。そのWamplerが作るクローン、Tumnusには期待大! 外観からして、コンパクトでありながら小さな巨人感があります。
そもそもケンタウルスはTS-9を代表とする、チューブスクリーマー(TS)系を発展させたものと言われることがあります。Tumnusにもそういうアンプライクな音を感じます。オリジナルよりよく歪む感じがします。
こちらはオリジナル同様のバッファードバイパスです。
MXR M294 Sugar Drive
前述のとおり、WAY HUGE WM20 CONSPIRASY THEORYと並ぶ、ジョージ・トリップスが開発したMXR M294 Sugar Drive。構造的に異なる点はトゥルーバイパスとバッファードバイパスの切り替えです。切り替えには裏蓋を開けなくても、サイドから切り替えられる点が好感持てます。
音の印象はMXRらしく、固めでガッツのある印象ですが、、、
設計したジョージ、ご本人はWAY HUGE版とMXR版では、回路は全く同じと言っています。
ところが、この二つの音は違うと感じる方が多いようです。実際、自分にはMXRの方が僅かにスッキリ目で、コンプ感を感じます。
メーカーのイメージ、筐体のデザイン、色によって印象が変わってしまうのは人の常。
私もそうです。(^^;)
エフェクターの見た目も、自分のフィーリングに合うと、プレイが良い方向に変わる可能性もありますよね?
既に使用されているペダルボードに導入しようとした場合、接続する順番によっては隙間に、Wampler Pedals TumnusかMXR M294 Sugar Driveしか収まらないという可能性もありますね。そういった時はミニサイズはやっぱり便利!
ケンタウルス系クローンエフェクター、比較のまとめ
様々なメーカーが作るケンタウルス系クローンを見てきましたが、主な特徴をまとめると以下の表になります。価格やその仕様で見比べるとわかりやすいですね。
メーカー/ モデル名 | 価格(円) | クリッピング ダイオード | バイパス 動作 | 特徴 |
Ceriatone Centura | 31,136~ (モデルにより 差あり) | 資料なし (オリジナル同様?) | バッファー | そっくりそのまま! |
JRAD ARCHER | 26,800~ | 資料なし (シルヴァー期と同様?) | バッファー | Ikonと比べると わずかにクリーンな出音 |
JRAD ARCHER Ikon | 29,800~ | 1N34ゲルマニウム | バッファー | 初期のモデルを再現 |
WAY HUGE WM20 CONSPIRACY THEORY | 16,780~ | ゲルマニウム (型番不明) | トゥルー | 中~後期に近い明るめの音 |
TC Electronic ZEUS DRIVE | 11,800~ | 1N34Aゲルマニウム | 内部で 切り替え | コスパ良し |
Electro-Harmonix Soul Food | 15,800~ | シリコン (型番不明) | 内部で 切り替え | ドンシャリ感のある エレハモの音! |
Wampler Pedals Tumnus | 23,000~ | シリコン (型番不明) | バッファー | 良いアンプの音 |
MXR M294 Sugar Drive | 17,400~ | ゲルマニウム (型番不明) | サイドから 切り替え | コンパクトで バイパス切り替え可 |
オリジナルに最も近いと感じるものを選ぶのも良いですが、各社わずかな差で差別化を図ってきてます。そこが設計者の狙いを感じられて楽しい部分ですね。こんなにもいろいろ選択肢があれば、なぜ高いプレミア価格を払って本物を求める必要があるのか?という気さえしますね。
どれも素晴らしい仕上がりなので、最終的には見た目、使い方も含めて、自分の好みのものを選んでいただければ幸いです。
ここでは紹介しきれませんでしたが、自作派の方には自作キットも幾つかあるんですよ。また機会がありましたら、紹介したいと思います。
TS系の紹介記事も、あわせてお読みください。
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