ギターエフェクターでのコンプレッサーの役割はというと、
・音の粒をそろえる
・サスティンを得る
が主なところだと思います。実は、多少演奏が荒くてもそれなりに上手く聴こえるという、ある意味美味しいエフェクター。なので、練習で使ってはいけないとか、上達を妨げるということも昔からよく言われます。最近使う機会が増えて、重要度が上がってきたので、ノイズ対策等について、サーチしてみました。
やっぱりダイナコンプ! 使用ミュージシャンとその特徴
やはり気になるのはギターのエフェクターペダルの中でも、
超定番のMXR dyna comp。
使っているミュージシャンも
・ジョン・フルシアンテ
・ジ・エッジ
・ノエル・ギャラガー
・イングウェイ・マルムスティーン
・アンディ・サマーズ
・ロバート・フリップ
・高中正義
と名だたる人ばかり。
(意外なことにナイル・ロジャースはコンプは使わないんですよね。カッティングこそコンプを使いそうな気もしますが、これについてはまた別記事で紹介しようと思います。)
自分はジョン・フルシアンテが使っているのが気になりました。レッド・ホット・チリ・ペッパーズのアルバム「Blood Sugar Sex Magik」に収録されている“Mellowship Slinky in B Major”のソロと、”Under the Bridge”のイントロで使われているようです。
よくパコパコと形容される、あのサウンドもたまりませんね。
さて、そのMXRダイナコンプですが、ノイズについて話題になることがあります。
ノイズの対策を考える前に、まずはコンプの仕組みについて見ていきましょう。
コンプの仕組みをまず理解
ノイズが大きくなるのは、これはもうコンプを使う以上、仕方ないことなんです。
それを図解してみましょう。
こんな感じで、音量差があってダイナミズムの大きい演奏の場合、大きな部分をコンプで潰して音を揃えるとします。赤い点線がノイズです。この図の状態ではノイズは気にならないレベルとします。
※全ての図はあくまでイメージですので、実際の動作具合とは異なります。
青の点線がSENSITIVITYで設定するラインだと思ってください。
つまみを上げていくと、潰す割合が増えて音量差が減っていきます。図では青の点線が下がっていくことになります。
SENSITIVITYのつまみはダイナコンプの英語マニュアルでは“SENSITIVITY knob sets compression ratio”と説明されています。つまりコンプに詳しい方はお分かりかと思いますが、これはレシオの設定なんですね。スレッショルドの設定は省略されているようです。ダイナコンプの場合、あの独特のパコパコトーンを付加するためのエフェクターのような要素もありますので、パコパコ具合の量と考えてもいいと思います。
はい。ここはメモ。
ダイナコンプのSENSITIVITYはレシオ(圧縮率)の設定
ちなみにアタックとリリースは固定のようです。
(※DYNA COMP DELUXE / M291 DYNA COMP MINI COMPRESSORには、ATTACKスイッチが追加されていて、ファスト/スローの切り替えができます。)
こんな風にエフェクタが揃えてくれます。そして、、、
OUTPUTのつまみで設定した音量まで持ち上げてくれます。
結果、気にならなかったノイズまで一緒に持ち上がってしまいます。
特にシングルコイルのピックアップはノイズとの関係が切り離せません。でも、シングルコイルの音とコンプの相性がこれまた良いので、なんとか対策して実戦で使いたくなりますね。
設定する際には
1. SENSITIVITYをゼロの状態にして、OUTPUTで音量を決める。
2. その状態でギターを弾かないで、SENSITIVITYつまみを回して行き、ノイズに絶えられる限界ギリギリまで上げる。
3. そのつまみの回し位置を上限として、潰し具合をコントロールする。
という使い方をオススメします。もちろん、ノイズも含めた音楽としての過激な設定も意図があればオッケーです。
ノイズ対策について
ギター本体の対策
まず、コンプがギター本体からのノイズを拡大しているのは確かなことなので、
ギター本体のノイズ対策をしましょう。
対策は次の3つ。
- ギター本体のピックアップが設置されているキャビティ内のシールディング
- ノイズレスピックアップへの交換
- アクティブサーキットの導入
等の対策があると思います。
キャビティ内のシールディングは導電塗料を塗るやり方と、
アルミや胴箔を貼る方法があるようです。
導電塗料を塗る場合はやり直しが効かないので、勇気が要ります。
アルミ等を貼る場合は気に入らなかった場合は外せば復帰可能です。
やはり、音質が変わってしまう可能性があるのが、悩むところなんですよね。
ノイズと一緒に高域が犠牲になる、いわゆるハイ落ちが生じる場合があるんです。
これらの対策はDIYに自信がある方はトライする人もいます。
ちなみに導電塗料は購入当初から塗られている場合もあります。
(自分のギターは最初から塗られてました!)
アルミ等を貼る場合はノイズ対策効果は高いけど、ハイ落ちも否めないことが多いようです。
その場合、ハイパスコンデンサーを配線に追加する対処法もあるようです。
ノイズレスピックアップはピックアップ交換になりますので、
予算はかかりますが、好みの音のものがあれば効果は一番高いと思います。
アクティブサーキットの導入も効果は高いと思いますが、
電池を内蔵することになると思いますので、スペースがあるかが問題ですね。
電源/配線周りの対策
電源からのノイズも拾ってしまいますので、ノイズ対策がされたACアダプターか電池を使いましょう。シールドも信頼あるメーカーのものに変えておいたほうが良いですね。
エフェクター本体を疑ってみる
コンプ本体から発するノイズもゼロではないと思います。オペアンプ(増幅機)や内部パーツのグレードが関係することと思います。もし中古等の場合、バーツの消耗のケースも考えられますので、上記の対策を施して、ノイズが気になるようでしたら、修理に依頼するか買い直しになると思います。お店で試奏して、店頭のものと比較するのもオススメです。
以下の参考リンクでタンタル・コンデンサの消耗についての記事があります。
とても参考になりました。ありがとうございます!
モディファイ/リスペクト系の機種もある
オリジナルにこだわらなければ、モディファイ系あるいはリスペクトのものでノイズ対策がされているものを購入するという方向性ももちろんありです。
モディファイのものは、ざっと以下のような製品があります。
- WEED Dynacomp Hi-Fi
- Kinnatone dynacomp mod
- JHS MXR Dyna Comp Dyna Ross
その中でもWEEDの製品はノイズが少なくて良いようです。
内部のパーツがアップグレードされており、クリアなサウンドが期待できます。
オペアンプにはダイナコンプと人気を二分する、ROSSのコンプレッサーに使用されていたIntreSil社製CA3080Eが使用されているようなので、ROSSの音に近いものと思われます。
ROSSはヴィンテージで高価ですが、MXRの回路を模倣してノイズ対策も盛り込んだと言われています。
そのROSSは2019年春に復刻されましたが、品薄のようです。
お値段も高級ペダル並みですね。ROSSは元はっぴぃえんどの鈴木茂さん他、有名アーティストが使っています。
KinnatoneはダイナコンプをROSSタイプにするモディファイサービスをやっているようですね。残念ながら日本からオーダーするのは簡単ではないかも。KinnatoneではROSSタイプを含む3種類のモディファイがあるようです。
JHSのモディファイは数多くのモディファイで知られたメーカーだけに期待度大です。
ネーミングから言って、MXRをモディファイしてROSSタイプにしましたってことなのでしょうか? 少し前までは、ROSSのヴィンテージが高価なので、あのタイプが欲しければ、こちらを選択するという位置づけだったのだと思われます。
ここまで、モディファイもの3機種を紹介しましたが、どれもROSSタイプなんですよね。
つまりROSSはMXRのダイナコンプの路線をアップデートした先駆者だったんでしょうね。
その他、特別にノイズ対策されているようなモディファイは見つかりませんでした。
ダイナコンプ使い方のまとめ
ダイナコンプのノイズ対策は
- SENSITIVITYの設定は控えめにする
- ギター周りのノイズ対策はしっかり行う
- エフェクターの消耗も疑ってみる
- ROSSタイプのモディファイものも視野に入れる
のいずれかになりそうです。
私自身は動画で確認した限り、ROSSタイプのHi-Fi感のある音よりも、オリジナルタイプの方が好みでした。
その結果、あまり過激な設定をしないで、ノイズと付き合う方を選ぶことになりそうです。
オリジナルも年代によって違いますし、スクリプトロゴの少し仕様の違うものもあれば、個体差もあります。
その辺、どれが最も好みか探すのもまた楽しいですね。
その他、コンプの定番機種については、こちらの記事を参考にしてください。
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