ギターやシンセの音を、ちょっとヨレた感じにしたい。
ピッチが揺れて、フワフワと古いテープやレコードから流れてくるような音。
きれいすぎるデジタルサウンドに、そんな味付けをしてくれるエフェクターがあります。
それが ZVEX Instant Lo-Fi Junky。
しかも、あのTom Mischも使っているんです。
今回は、このエフェクターが気になったので、実機を買う前にAbleton Live12の標準エフェクトを使って再現してみることにしました。
果たして、どこまで近づけられるのでしょうか?
Tom Mischも使っている!ZVEX Instant Lo-Fi Junky
まずはこちらをご覧ください。
Tom Mischが自身の機材としてInstant Lo-Fi Junkyを使っていることが確認できる投稿です。
そして、こちらはInstant Lo-Fi Junkyの解説動画。
実際にサウンドを聴くなら、こちらの動画もおすすめです。
Instant Lo-Fi Junkyの特徴は、単に音をこもらせるだけではないところ。
コンプレッションによる独特のまとまりと、ピッチが揺れるビブラート、そしてローファイな質感が組み合わさっています。
この「ちょっと不安定なのに、なんだか気持ちいい」という感じが魅力なんですね。
Tom Mischのようなギタープレイに使うのはもちろん、シンセやボーカルなどに使っても面白そうです。
……これは気になる。
でも、まずは手持ちのAbleton Liveのプラグインでなんとかならないでしょうか?
実機を買う前に、Ableton Liveで作ってみよう
今回使うのは、Ableton Live 12の標準エフェクトです。
もちろん、Instant Lo-Fi Junkyそのものと完全に同じ音になるわけではありませんが、特徴的なサウンドに近づけることを目指します。
使うのは、次の3つ。
- OTT:音をぐっと前に出す
- Vibrato:ピッチを揺らす
- Auto Filter:音の明るさを調整する
これらをAudio Effect Rackにまとめ、Macroで操作できるようにします。
ポイントは、エフェクトをただ直列につなぐのではなく、2つのチェーンに分けること。
一方はコンプレッション担当、もう一方はローファイ担当です。
Audio Effect Rackを組み立てる
Audio Effect Rackを作り、チェーンを2つ用意します。
1. COMPチェーン
こちらにはOTTを入れます。
OTTはマルチバンド・コンプレッサーで、音の小さな部分を持ち上げたり、音の存在感を強めたりするエフェクトです。
今回は細かな設定を追い込むより、OTTを使ってコンプレッションのキャラクターを加えることにしました。
設定はデフォルトのまま。
まずはシンプルにいきましょう。
2. LO-FIチェーン
こちらにはVibratoとAuto Filterを入れます。
Vibratoでピッチを揺らし、Auto Filterで音の明るさを調整します。
Vibratoの揺れを深くすれば、より不安定で個性的な音に。浅くすれば、さりげない揺れを加えることができます。
Auto Filterは、カットオフ周波数を300 Hz〜12 kHzの範囲で調整できるようにしました。フィルターのスロープは12 dB/octです。
これで、明るく抜けた音から、こもったローファイサウンドまで調整できます。
Macroを6つ用意する
せっかくAudio Effect Rackにまとめるので、Macroで操作できるようにします。
今回用意したのは6つです。
1. Volume
全体の音量を調整します。音色を変えたときの音量調整にも使います。
2. Tone
Auto Filterのカットオフ周波数を操作します。
このMacroが変えるのは、LO-FIチェーン側の音色です。COMPチェーンの音には直接作用しません。
3. Comp / Lo-Fi
COMPチェーンとLO-FIチェーンの音量バランスを調整します。
COMP側を上げればコンプレッション主体、LO-FI側を上げればビブラートやフィルターの効果が主体になります。
2つのキャラクターを混ぜながら、好みのバランスを探せるわけです。
4. Depth
Vibratoの揺れの深さを調整します。
控えめにすれば自然な揺れ、深くすればかなり個性的なサウンドになります。
5. Speed
Vibratoの揺れる速さを調整します。
ゆっくりした揺れから、細かく震えるような揺れまで、曲に合わせて変えられます。
6. 〜 – △
最後はVibratoの波形を切り替えるMacroです。
今回はサイン波と三角波の2種類を切り替えられるようにしました。
サイン波なら滑らかな揺れ、三角波なら一定の速度で上下するような揺れ。波形を切り替えるだけでも、音の印象が変わります。
実機には矩形波もありますが、今回は基本的な音作りに必要な2種類に絞りました。
シンプルな構成のほうが、実際に使うときも迷わなくて済みそうです。
完成! 自分専用のInstant Lo-Fi Junky風Rack

これで、6つのMacroから音量、音色、チェーンのバランス、ビブラートの深さと速さ、波形を操作できるようになりました。
実機と完全に同じものではありませんが、Ableton Liveの標準エフェクトだけで、ローファイな揺れとコンプレッションを組み合わせた音作りができるのは面白いところです。
まずはギターやシンセに挿して、DepthやSpeedを動かしてみる。Toneを絞ってみる。COMPとLO-FIのバランスを変えてみる。
Macroをぐりぐり動かしているだけでも、いろいろな発見がありそうです。
そして、もしこの音が気に入ったら、いつか本物のInstant Lo-Fi Junkyを試してみるのもいいかもしれません。
まとめ
今回は、Ableton Live 12の標準エフェクトを使って、ZVEX Instant Lo-Fi Junky風のAudio Effect Rackを作ってみました。
使ったのはOTT、Vibrato、Auto Filterの3つ。これらを2つのチェーンに分け、6つのMacroで操作できるようにしています。
実機の完全な再現ではありませんが、手持ちの機材やソフトで、気になる音にどこまで近づけるか試してみる。これもDTMの楽しみ方のひとつですね。
本物のペダルを買う前に、まずは手元のAbleton Liveで実験してみる。そんな遊び方も、なかなか楽しいものです。

