曲を作っていく際に、仕上げで避けて通れないのがミックス!
難しいと思っている方がいると思いますが、おすすめの手順とコツをお伝えいたします。
あると便利なプラグインの紹介もしていきますので、是非参考にしてみてください。
ミックスって、エンジニアが行う専門的なお仕事って感じで、ハードルが高いわ
料理に例えるとわかりやすいよ。
カレーを作ると思って、
・素材の下ごしらえ(各トラックのトリートメント)
・具材の量(音量バランス)
・盛り付け(定位/パンニング)
って考えるといいよ。
そう考えると、作る人によって味付けが違うのも、
当然ね。なんかわかった気がするわ!
まずは各トラックのトリートメント
作成した各パート/各トラックを整えていきます。主に使用するエフェクトは
イコライザー(EQ)
コンプレッサー(コンプ)
リバーブ
です。
それでは一つずつ見て行きましょう。
エフェクトその1. EQ
EQは、基本、全トラックにインサートすると思ってください。
サンプル素材を使っている場合には、EQ処理が必要ないように、既に整えられている場合があります。
その場合、EQで手を加える必要はありません。
(ただし楽曲とのマッチングや、制作者の意図で、さらに整える場合もあります)
EQの基本は
- 低音パートのハイカット(ローバス)
- ウワモノパートのローカット(ハイパス)
です。
主な低音パートはドラムスのキックと、ベースです。
ウワモノパートはリードシンセやアルペジオ等、高音域を担当する楽器ですね。
それぞれのパートにとって、真逆の不要なゾーンを、カットしていきます。
何十個もトラックがある曲だと、聴感上判別できなくても、塵がつもればでもっさりしてきますので、丁寧にカットしてクリアなミックスにしていきましょう。
ギターや鍵盤、キーボード等、コードを担当するパートは中音域を中心に、周波数を埋める役割を担っています。どうEQで整えるかは好みの分かれるところです。
- 中音域は必要なエリアまでのローカット
は必ず行うようにしましょう。
あとは、ボーカルが入っている場合は、ボーカルのヌケを良くするために
- 中音域はボーカル周辺の周波数帯を少し下げる。
を行うといいでしょう。
場合によっては、コード担当楽器のEQはハイシェルフを使う場合もあります。
EQは積極的な音作りをしない限り、DAWに付属のもので大丈夫ですが、
おすすめはfabfilter Pro-Q3です!
Pro-Q3はアナライザーが付いているので、不要な部分が視覚化できるので、わかりやすいと思います。もちろん、積極的にEQをかける場合のエフェクトとしても、ナチュラルな仕上がりの透明感が素晴らしいプラグインです。
お料理に例えると、いらないところをカットするのは、皮むきみたいなものね。
エフェクトその2. コンプ
ダイナミズムを調整するのがコンプです。
自分で楽器を演奏して、録音したパートは必ずといっていいほど、必要になると思います。
特にヴォーカルには必須ですね。
打ち込みの場合、MIDIキーボード等で演奏して記録した場合は、ヴェロシティによって強弱がついています。その場合、手動でヴェロシティを整えるか、生演奏のレコーディング同様に、コンプを使うかどちらかになると思います。
DAWの内臓コンプを使ってももちろん良いですが、好みにあったサードパーティ製のものを用意すると、作業がはかどります。
おすすめはfabfilter Pro-C2です。
これもPro-Q3同様、アナライザーがついて、どのタイミングでどう効いているか効果がわかりやすいです。
コンプは設定がむつかしい印象があるけど、Pro-C2なら効果が一目瞭然だね。
エフェクトその3. リバーブ
リバーブはセンドリターンという手法を用いることが多いです。使用するリバーブを複数のトラックで兼用する方式です。センドリターンを用いると、インサートするプラグインが一つで済みますので、CPU負担が個別にインサートするよりも、格段に減ります。
やり方としては、ミキサーのリターントラックと呼ばれるトラックに、リバーブをWet100%でインサートします。そして、各トラックから必要な量だけ、センド量を調節して送ることになります。
特にルームリバーブは楽曲全体の統一感も出ますので、センドリターンで兼用にすることを、おすすめします。
プレートリバーブやスプリングリバーブといった、エフェクト系リバーブは、必要なトラックに直接インサートして色付けすると良いでしょう。
リバーブはお料理の匂いや風味かしら。
センドリターンで使用する、おすすめのルームリバーブはValhalla Roomです。
こちらの紹介記事も合わせてご覧ください。
音量バランスを整えるには
まずはキック(バスドラム)の音量を-12dBに設定することをおすすめします。
それに対して、他のドラムキット/パーカッションの音量バランスを決めます。
その次に
ベース
↓
コード担当楽器(コーズ)
↓
ウワモノパート
↓
歌
の順番で整えると良いでしょう。
場合によってはキックを整えたら、次にベースを整える場合もあります。周波数ゾーンがかぶりやすい上に親和性の高いパートなので、その2つを丁寧にバランスを取ることは、とても大事です。
音量バランスが整ったと思ったら、マスタートラックのレベルを確認してください。
一番音量が上がったピークレベルから、0dBまでのエリアをヘッドルームと呼びます。このヘッドルームが-3~-6dBを空けるようにします。
その余白を空けておくと、ミックスの後に行うマスタリングの処理がしやすくなります。
場合によっては、全トラックのフェーダーを選択して、全て下げる場合もあるかもしれません。
ここで、チートなプラグインを紹介します。
WAVESの
- Vocal Rider
- Bass Rider
です。
これらはその名前の通り、ボーカルとベースに用います。実機のミキサーフェーダーを手で動かしながら、リアルタイムで音量を整える「手コンプ」と呼ばれる技を、デジタルでシミュレートしたプラグインです。
コンプレッサーよりもナチュラルに整えることが可能です。
各素材をバランス良くが大事ね。
定位(パンニング)の設定
V字配置と呼ばれる定位設定が基本となります。
周波数の低い音は直進性が低く、空間での位置がぼやけてしまうため、センターに配置します。
具体的にはキックとベースはセンターです。
スネアはドラムセットの中で、低音を担うわけではありませんが、アクセントの役割とドラムセットの位置関係から、センターに配置することが多いです。
逆に周波数の高い音は左右に配置すると、2チャンネルのステレオで立体感が出しやすいです。
ハイハット/クラッシュシンバル/ライドシンバル等、ドラムの金物は左右に配置します。
ドラムセットのパンニングは、海外だとドラマー目線を模倣した左側がハイハットのことが多いですが、日本だとオーディエンス目線の右側がハイハットのことが多いです。どのくらいドラムセットの左右を広げるかは、アーティストの意向やミキシングエンジニアの感性によって異なりますので、様々です。
ウワモノを担当するシンセやリード楽器は、周波数が高いパートなので、左右にバランス良く配置していきます。
コード楽器は、センターに配置すると、歌のヌケ具合を邪魔する場合があるので、ほどよく左右どちらかに振ります。ギターでよくあるケースとしては、左右の配置バランスを良くするために、同じ演奏を2テイク分用意して、左右にバラします。
歌はこれはもう真ん中ですね。
定位を設定すると、音量バランスもまた違って聴こえてくるので、再度、耳でバランスを整えていきます。
パートによってはイメージャーを使って、サウンドを左右に広げると、グーンとステレオ感が上がる場合もあります。
おすすめはWAVES S1 Stereo Imagerです。
WAVESのバンドルパック、Silver, Gold, Platinum, Diamond, Horizonにも収録されてますよ。
ステージの位置関係をイメージするといいよ。ただ、ベースはセンターにした方がバランスがいいね。
DAWで行うミックスのまとめ
手順をまとめると
EQ/コンプ/リバーブで各トラックのトリートメント
↓
キックを-12dBにして、各パートの音量バランスを整える
↓
V字配置を基本にして定位を作っていく
の流れをおすすめします。
慣れてくると、曲を製作しながら、ミックスに必要な処理もしていけるにようになると思います。
ここに書いたこと以外にも、いろいろなやり方がありますし、リリースされている曲の中には、個性的なミックスにハッ!とすることもあります。いろいろチャレンジして自分の手法を見つけてみてください。
既存の曲も、ミックスを意識して聴くと、また違った楽しみがあるし、自分の曲に取り入れたりする楽しみが増えたわ。
キックとベースのバランスを取るには、プラグインのKickstartもおすすめですよ。
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